My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
「それじゃあ、行ってくる。街の警護は頼んだよ、マルテラ」
(あ、マルテラさんは一緒に行かないんだ)
パシオさんが副長である彼女に言うのを聞いて、正直少しほっとしてしまった。
ここにいる全員で森に入るわけではないみたいだ。確かに自警団全員が街を出てしまったらいざというとき、それこそモンスターがまた現われでもしたら大変だ。――でも。
「やっぱり私も行くわ」
「え?」
マルテラさんの言葉にパシオさんが目を瞬いた。
「お願いパシオ。私も同行させて」
彼女の真剣な顔つきにパシオさんは困ったような表情を見せたが、それから近くにいた別の青年に声をかけた。
「トランク、すまないが街に残れるか?」
「あぁ、俺は構わないが」
「頼む」
「あぁ。任せておけ」
トランクと呼ばれたその青年は快く頷いた。