My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】

 どきりとする。
 先ほどラグが森を見て驚いていたように、セリーンも気になったのだろう。
 するとパシオさんは小さく苦笑した。

「いえ、この辺りも全て焼けてしまったそうです」

 “そう”、ということはパシオさんはレーネの出身者ではないのだろうか。
 彼は緑の天井を見上げた。

「ですが、この森は驚くほどの回復力を見せ、今はこんなにも緑で溢れているのです」
「レーネの石のお蔭よ」

 そう続けたのはマルテラさんだった。彼女は足を止め、私たちの方を振り返っていた。

「レーネの石……このあたりで採れるというあれか」

 セリーンもその石のことは知っていたようだ。

(例の《誓いの指輪》も、その石なんだよね……?)

 なんとなくダイヤモンドのようなキラキラした宝石を私はイメージしていた。
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