My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
私を捉えたアヴェイラの瞳が大きく揺らぐ。
「ちょっと兄貴、多分それ逆効果!」
リディが焦るように言うがグリスノートは構わず続けた。
「わかったか! だからてめぇもいつまでも意地張ってねぇで」
「シャラップ! 信じないって言ってるだろ!」
アヴェイラが再びグリスノートの声を遮り叫んだ。
その顔が怒りで染まり長い髪がざわざわと揺れ動いているのを見て、直感的にまずいと思った。
グリスノートもリディもそれを見て彼女が何をしようとしているのかわかったのだろう。
「おい、てめぇまさか!」
「アヴェイラ待って!」
ふたりが同時に叫んだ、そのときだ。
「退け」
「!」
背後から降ってきた低い声に私は勢いよく振り向く。
「ラグ!」