My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
25.ほんとの気持ち
「お前に武器を持たせたのは間違いだった」
自警団の詰所前でダガーをホルダーごと返し宿へと向かう途中、前を歩くラグが溜息交じりにぼやくのが聞こえた。
その大通りには私たち以外ほとんど人が出歩いていなくて、ただ夕闇迫る中木組みの家々から漏れ出る灯りとごはんの良い香りがとてもあたたかく感じられた。
モンスターが出るなんて知らなければ本当に穏やかで平和な街に見える。
「ハハ……私もそう思った。外してすごくホっとしちゃった」
ホルダーを外した瞬間その重さ以上に肩の荷が下りたような、そんな感覚があった。
やはり私に武器は分不相応だったのだろう。
「まぁ、カノンに武器は似合わないな」
隣を歩くセリーンにも言われてしまい苦笑する。