My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
「あぁ、寝ずにここまで来た」
何でもないことのようにさらっと言うセリーン。
「だ、大丈夫なの?」
昨日からずっと歩き通しで、先ほど森ではモンスターとも戦ったのだ。
疲れていないのだろうか。
「あぁ、全く問題ない。お蔭でこうして追いつけたしな」
嬉しそうにセリーンは笑った。
「そうそう。リディからカノンに言付けだ」
「え?」
「奴のことをよろしく、と」
(あ……)
リディのラグへの気持ちを思い出してチクリと胸が痛んだ。
「それと兄の方からも。俺は諦めてねえからな。絶対に追いつくから待ってろ、だそうだ」
「え……」
呆れたふうにセリーンが肩を竦める。
「なかなかしつこい男だな」
「――で、でも! 私は銀のセイレーンだってバレて」
「あぁ。奴も驚いてはいたが、それでも気持ちは変わらなかったみたいだな」
「そんな……」