My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
「それに私だって、カノンと離れるのは寂しいからな」
「え……」
優しい眼差しを向けられて、胸がきゅんとした。
「うん、私も。またセリーンにこうして会えて本当に良かった」
笑顔で言ったその時だ。
「お食事の支度が出来ました。食堂へどうぞ~」
そんな主人の呼び声が聞こえてきた。
「よし、行くか」
セリーンがベッドから立ち上がった。
「あ……私、顔平気? 泣いたのバレないかな?」
立ち上がりながら目元をこする。
「もう暗いからな、大丈夫だろう」
「そう? ならいいんだけど」
こういうときはこの世界に電気がなくて良かったと思う。明るい照明の下だったらバレバレだったに違いない。
「それにしても、案外平気なものだな」
「え?」
ドアの前でセリーンがこちらを振り返った。