My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
「どうしたの? ご飯冷めちゃうよ」
「あぁ……だが」
そうして彼は自分の胸元を見下ろし小さく続けた。
「ブゥの奴が……」
「え? ブゥ?」
そういえばもうブゥが起きていてもおかしくない時間帯だ。
「まだ寝てるの?」
「起きてはいるんだが、ここから出てこようとしねぇんだ」
彼の心配そうな声音にこちらも心配になってくる。
「ブゥ、どうしたの?」
「……ぶぅ~」
声をかけてみると、そんなか細い声が返ってきた。
「具合、悪いのかな」
「わからねぇ。ただずっと震えてんだ」
「震えて……?」
「おい! 折角の料理が冷めてしまうぞ!」
と、痺れを切らしたらしいセリーンがドスドス足音を立てながら階段を上がってきた。