My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
「それが、ブゥが調子悪いみたいで」
「ブゥが?」
セリーンもすぐに怒りの表情を消し、ラグの小さく膨らんだ胸ポケットを見下ろした。
「ずっと震えて、出てこないんだって」
すると彼女は眉を寄せ、小声で言った。
「……モンスターの狂暴化と、なにか関係があるんじゃないか?」
「!?」
私は驚いてもう一度ブゥの方を見つめる。
――狂暴化……?
確かにブゥもモンスターだけれど。
「ブゥもここの森の出身なんだろう」
セリーンの言葉にラグが短く息を吐いた。
「それはオレも考えたが、狂暴化してるわけじゃねぇし、むしろ」
「怯えてる……?」