My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
「とにかく珍しいものに目がなくてな。コレクションを増やしては母に叱られていたな」
「へぇ。そういうとき、オルタードさんはどうしてたの?」
「奴はどちらにもつかず、ただ静観していたな」
「そうだったんだ」

 執事をしていた頃のオルタードさんを想像して思わず笑みがこぼれた。
 と、そこで自分が今とてもリラックスした状態でベッドにいることに気付く。
 昨日、一昨日とラグと同室で緊張していたからだ。

(でも、自覚する前でまだ良かったかも)

 気持ちに気付いてしまっていたら、きっともっとドキドキして眠れなかっただろう。

「おやすみ、セリーン」
「あぁ、おやすみ」

 ――ラグはちゃんと眠れるだろうか。ブゥは大丈夫だろうか。
 気になったけれど睡魔には勝てなかった。
 目を閉じて間もなく、私は沈むように眠りに落ちていった。

< 274 / 440 >

この作品をシェア

pagetop