My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
ラグは窓から離れると椅子にどっかりと腰かけた。
「原因はオレか、お前か……」
「え?」
ラグの鋭い瞳が私を見上げた。
「お前もそう思ってんだろ」
「っ、」
言葉に詰まる。――図星だった。
この宿に原因がないのだとしたら、そこに泊まっている私たちの方にあるのではないか。そう考えてしまった。
「まぁ、どう考えてもオレだろうな」
自嘲するようにラグが口の端をわずかに上げた。
「オレがここに戻ってきたのを、森の連中はわかってんだ」
「で、でも、」
「やっぱりオレはここに来るべきじゃなかったのかもしれねぇ」
ラグがポケットを見下ろして続ける。
「こいつも、ここに戻ってきて思い出したんだろう、全部。だからこんなに怯えて」
「それはないよ!」
強く否定するとラグがこちらを睨み上げた。