My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
「なんで言い切れる」
「ブゥが! ラグに怯えるなんて絶対ないってわかるからだよ!」
だって出会ってからこの数ヶ月間ずっと見てきたのだ。
ブゥがどれだけラグを信頼しているか。ラグがどれだけブゥを大事に思っているか。
だから、わかる。
「ずっとそばで見てたからわかるよ。ブゥはラグを怖がったりしない。絶対に」
「……っ」
もう一度強く言い切るとラグは私からふいと視線を外してしまった。
「それに、怖いなら普通離れるでしょ? そこから出てこないってことはラグから離れたくないんだよ」
「……」
「きっと、なにか他に原因があるはずだよ」
――だから、そんなに傷ついた目をしないで。
もうこれ以上、彼には自分を責めて欲しくなかった。
「だから明日、例の男の人にセイレーンの秘境のことを聞いてみて、それからまたどうするか考えよう?」
今できる精一杯の笑顔で言う。
「……お前は、オレを怖いと思ったことはないのか」
「え?」
海の底のような深い青に見つめられて、どきりと胸が鳴った。