My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
「……逆に、ラグは私を見離そうと思ったことはないの?」
「は?」
思い切って訊いてみると、ラグはもう一度私を見上げた。
「ほら、私ラグの足引っ張ることばっかりして……きっと、イライラしただろうなって」
ラグはきっともっと早く旅を進めたかったはずなのだ。
ドキドキしながら答えを待つと、彼は溜息を吐いて目を伏せた。
「あぁ、そうだな。人の言うことまるで聞きやしねぇし」
――あ、やっぱり否定しないんだ。と、少し傷つく。
(まぁ、そうだよね。わかってたけど……)
「離れるなって言ってんのに勝手な行動をとる。なのに、来るなと言うとついて来る。なんなんだこいつはと何度も思ったな」
「うっ……」
その通りなのでなにも言えないでいると。
「……だが、」
そこで彼は一旦言葉を切った。