My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
「今は、お前がいて良かったと……思って、いる……」
小さく、途切れ途切れに紡がれたその言葉に、私は目を見開いていく。
“今は、お前がいて良かったと思っている”
確かにそう聞こえた。
聞き間違えでないことは、夜目でもわかるほどに赤くなった彼の顔を見れば明らかで。
それに釣られるようにして私の顔もみるみる赤くなっていくのがわかった。
(どうしよう、嬉しい……っ)
こんな時だと言うのにまた涙が出そうになって、誤魔化すために必死に次の言葉を探す。――そんなときだった。
「!」
ガタっとラグが椅子から立ち上がってびっくりする。
でも背後の開けっ放しにしていた窓から複数の人の声と足音が聞こえてきて慌てて振り返る。
きっと、モンスターに気付いて人が集まってきたのだ。