My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
窓からそっと通りを見下ろすと自警団の制服を着た人たちが数人、モンスターの死骸を取り囲んで何か話し込んでいた。その中にマルテラさんとパシオさんの姿を見つける。
(こんな夜中までお仕事してるんだ……)
と、マルテラさんがふいにこちらを見上げてばっちり目が合ってしまった。
今さら隠れることも出来ず、でも何と声をかけていいかわからずに固まっていると。
「あ、セリーンさん!」
そんなパシオさんの声にその視線は外れた。
セリーンが通りの向こうから姿を現して、無事な姿にほっとする。
彼女は宿の前まで歩いてくるとパシオさんたちに話しかけた。
「粗方片づけたと思うぞ」
「ありがとうございます! すみません、気づくのが遅くなってしまって」
「あちこちに死骸が転がっている。確か13匹だ。悪いが後始末を頼んでいいか」
「勿論です。何から何まで本当にありがとうございます。この報酬も明日」
「いや、これは私が勝手にしたことだ。気にしないでくれ」
「あ、ありがとうございます」