My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
セリーンは首を振って彼らに背を向けた。そのときだ。
「ちょっと待って。あなただけ?」
マルテラさんがそうセリーンに訊ねた。
「そうだが?」
セリーンが振り返り短く答える。
「……そう。ごめんなさい、なんでもないの。本当にありがとうございました」
マルテラさんはそうして頭を下げると、パシオさん達と共に通りの向こうへと駆けて行った。
セリーンがこちらに戻ってくるのを見て静かに窓を閉めると、背後で大きなため息が聞こえた。
「完全に疑われてるな」
「うん……」
今のは、ラグは一緒じゃないのかという意味だったのだろう。
「でもマルテラさん、ラグのこと他の仲間には言ってないみたいだね」
「どうだろうな」