My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
すると間もなくして足音が近づいてきてセリーンが部屋に入ってきた。
「ありがとうセリーン。大丈夫だった? 怪我とかない?」
「あぁ、何も問題ない」
そう言うと、彼女は部屋を出ていこうとしたラグにすれ違いざま話しかけた。
「あのマルテラという女性と昔何があった?」
(――え?)
ラグがぴたりと足を止める。
「向こうは貴様に相当思うところがありそうだが?」
「……彼女だけじゃない。あの頃の住人は皆、オレに思うところがあるだろう」
そんなふたりの会話にハラハラする。
セリーンは腕を組み、ラグの背に向かって続けた。
「そもそも、貴様らはなぜこの街を狙ったんだ」
その問いにラグが勢いよくこちらを振り返った。