My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】

 絞り出したような声だった。
 完全に俯いてしまった彼の姿が、呪いで小さくなった彼の姿と重なって見えた。
 当時12歳だった彼の心を考えると喉の奥が締め付けられるように痛くて、何も言葉が出てこなかった。
 それから何年もずっと、彼はその辛く重い過去を背負って生きてきたのだ。

「……そうか。すまない。辛いことを訊いた」

 セリーンがそう謝罪した。
 ラグは無言で私たちに背を向けるとドアに手をかけた。

「少しでも眠っておけ」
「……」

 それに対しての返答はなく、ドアはぱたりと閉じられた。
 セリーンが重苦しい溜息を吐く。

「てっきり、いつものようにはぐらかされると思ったが……流石に参っているみたいだな」
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