My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
私は頷く。
「モンスターがここに集まって来たのも、ブゥが怯えているのも、ラグ全部自分のせいだって思いこんでて……。でも、マルテラさんは今の話知ってるのかな」
この街がなにか恐ろしい武器を作ろうとしていたこと。
そして、ラグが当時なんのためにこの街を訪れたのか……その純粋な思いを。
「私が聞いた話では、この街の住人たちは当時その武器を作るために奴隷のように働かされていたそうだ」
「じゃあ、マルテラさんも」
防具を外していきながら、セリーンが頷いた。
「あぁ。先ほど奴が言った“助けたかった”というのは、マルテラのことだったのかもしれないな」
つきりと、喉の奥に先ほどとは違う小さな痛みが走る。
ベッドに腰掛けセリーンは続けた。
「明日、例の男の元へは私たちだけで行った方が良さそうだな」
「そう、だね」
あんな状態のラグと昔からの住人だという男性を会わせられない。