My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
「ねぇ、アヴェイラって」
ギャレーに戻ってから私はリディに訊ねた。
「もしかして、グリスノートのことが好きだったりする?」
「あ、わかっちゃった?」
リディが苦笑して、やっぱりと思う。
私を見たときのあのショックを受けた顔を思い出し、今更ながら酷い罪悪感に駆られる。
「昔からあんな感じでね、兄貴には全く伝わってないんだけど、周りからはバレバレっていうか……でもアヴェイラも素直じゃないからいつもすーぐ喧嘩になっちゃって」
呆れたふうに大きな溜息をつくリディ。
「袂を分かつことになった原因もそれか?」
セリーンが訊くとリディはうーんと唸って天井を見上げた。
「それもあるかもしれないけど……。ほら、イディルって戦争後に色んな事情で集まってきた人たちで出来た町だって話したでしょ」
「うん」
「私たちは出来るなら奪うことをやめたかった。でも、アヴェイラ達はずっとそのことに反対していたの。奪われた私たちが奪って何が悪いのかって」