My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
「……恐ろしい武器って、どんな武器だったんだろう」
「さぁな。想像も出来ん」
言いながらセリーンはベッドに仰向けになった。
「なんか怖いね。……今はもう、作ってないんだよね?」
「だと思いたいがな。さぁ、もう一度寝るぞ。夜明けまでまだ時間がある」
ずっと立ちっぱなしだった私は言われてゆっくりとベッドに横になった。……全く眠れそうになかったけれど。
それでも目を閉じると、マルテラさんと出会ったときのことが頭に浮かんだ。
――マルテラ。きみ、生きていたのか。
そうマルテラさんに話しかけたラグ。
(あのとき、きっとラグすごく嬉しかったんだよね)
自分のせいで亡くなったと思っていた彼女が……助けたかった人が目の前に現れて、本当はすごく、すごく嬉しかったはずだ。
なのに、そんな彼女にあんなにも露骨に疑われて……。
(ラグ……)
胸の辺りがどうしようもなく苦しくて、やっぱり眠れそうになかった。