My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
「……そうかよ」
ラグは少し呆れたふうにそう短く息を吐いた。
「つけてみたらどうだ?」
「え?」
セリーンが足を止めこちらを振り向いた。
「サイズが合わなかったら職人の元へ行かなくてはならないだろう」
「あ、そっか」
パシオさんがそう言っていたことを思い出す。
ずっとこのまま大事に仕舞っておきたい気持ちもあったけれど。
「じゃあ、つけてみようかな」
小箱の蓋をパカっと開けて、中の指輪を取り出す。
日に当たったその青い石は更に輝いて見えて、なんだかドキドキした。
(えっと……)
「普通は左手の薬指だな」
「そ、そうなんだ」
セリーンに言われ、そこは向こうの世界と共通なんだとちょっと恥ずかしくなりながらも左手の薬指にはめてみる。