My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
「なるべく、そんなことにならないといいな」
私はそう言って苦笑した。
――詰所を出る間際、私はマルテラさんの元へ駆け寄り小さくお礼を言った。
「先ほどはありがとうございました」
どうしても感謝を伝えたかったのだ。あのままだったら最悪ラグのことがあの場でバレてしまっていたかもしれない。
マルテラさんはびっくりしたように瞳を大きくしてから、その目を伏せた。
「今は極力、余計な混乱は避けたいの。それだけよ」
でもその後で「気を付けてね」と言ってくれた。
少しでも私たちを……ラグのことを信用してくれたなら嬉しいと思った。
(だから出来る限り、銀のセイレーンの力は使いたくないな……)