My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
「うぅっ……」
アジルさんは低く呻き頭を数回振ってから顔を上げた。そして私たちの視線で帽子が外れていることに気付いたのだろう、慌てて周囲を探し出した彼にラグが詰め寄る。
「どこで、どうやってその印をつけられた!?」
胸倉を掴まれたアジルさんは突然のことにぎょっとした様子だ。
「こ、これは別になんでもな……っ!」
だがそこでアジルさんは目をいっぱいに見開き言葉を失くした。
ラグが額の布を取り同じものを……エルネストさんの額にもあるその印を見せたからだ。
口を大きく開けたまま次の言葉が出てこないアジルさんにラグが更に問う。
「オレは、これをオレにつけた野郎を捜している。お前はどこで、誰にこれをつけられた!?」」
「――わ、儂は何も知らん!」
だがアジルさんはそう怒鳴り、首元を掴み上げるラグの手に更に力が加わる。