My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
「ラグ!」
苦し気なアジルさんを見て、思わずそう叫んでしまった。
「ラグ、だと……?」
ざぁっと、アジルさんの顔面から血の気が引く音を聞いた気がした。
「お前、まさか、ラグ・エヴァンス!?」
「あぁ、そうだ。オレは、ストレッタのラグ・エヴァンス」
ラグは自分からはっきりとそう名乗り、そして続けた。
「お前と同じ魔導術士だ!」
顔面蒼白になったアジルさんは一転、怯えるように首を横に振る。
「ち、違う、儂は……っ」
「何が違う! ここにいるんだろう金髪野郎が。――エルネストが!」
「知らん!! わ、儂は本当に、何も……あ、あの人が、儂はあの人の言うとおりにしていただけで」
(あの人?)