My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】

 だがそのときだ。

「アジルさん、なんの騒ぎですか?」

 建物の二階の窓からガタイのいい男の人がのっそりと顔を覗かせた。おそらくここで働く鉱夫だ。寝起きだろうか、その目は半分閉じかかっている。
 更にその背後にふたりほどの人影が見えて焦る。

(まずい……!)

 彼らの位置からはラグの顔は見えないだろうが、アジルさんに正体がバレてしまったのだ。このままでは騒ぎになってしまう。
 でもアジルさんはラグの手を振り払うと落ちていた帽子を素早く被り直しなんでもないふうに立ち上がった。

「モンスターがここにも出おった!」

 そうしてアジルさんは鉱夫たちの真下で伸びているモンスター数匹を指差した。

「モンスターが!?」
「だ、大丈夫なんすか!?」
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