My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
「あの紋様のことも隠してたね」
ラグと、そしてエルネストさんと同じ紋様。
「アジルさんも、何か呪いをかけられてるのかな。……エルネストさんに」
「……」
尻すぼみになってしまった私の問いに、ラグは何も答えずただ怖い顔でアジルさんの去っていった方を睨んでいた。
「それと奴が口走った、“あの人”だ」
セリーンの言葉に大きく頷く。
“あの人の言うとおりにしていただけ”、彼はそう言った。
「どうする。追いかけて尋問の続きをするか? それとも」
セリーンはラグにそう訊ね、だが何かに気付いたように振り返った。
「セリーンさーーん!」
そんな呼び声が私の耳にも届いて、セリーンはすぐさま建物の正面に回った。私とラグもそれに続く。
「あっ、良かった!」
セリーンの姿を見つけ真っ直ぐにこちらに駆けてくるのは自警団の一人、トランクさんだ。
「どうした」
酷く焦った様子の彼を見て、胸がざわめく。
そして彼は必死な顔で叫んだ。
「助けてください! 街に、モンスターの大群が押し寄せて……!!」
「!?」