My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
「セリーンありがとう! 気を付けて……!」
「あぁ!」
彼女は答えながらまた一匹モンスターを豪快に斬り飛ばした。
詰所の扉には鍵がかかっているようで何度かラグが叩いていると、「誰?」とマルテラさんの声が聞こえてきた。
「私、カノンです! 開けてください!」
私がそう叫ぶと何かが外れる音がして扉が少しだけ開いた。そこには剣を握り締めたマルテラさんが立っていた。
「早く入って」
「ありがとうございます!」
でも私に続いてラグが中に入ると彼女はその瞳を大きくした。
「あの、パシオさんのことを聞いて」
「……」
マルテラさんは扉に重そうな閂をかけると、そのまま私たちに背を向け奥のカウンターの方へと歩いて行ってしまう。