My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
(マルテラさん……)
「すまない」
ラグが消え入りそうな声でまた謝罪の言葉を口にする。
「……出て行って」
「マルテラさん、ラグはパシオさんを」
「早くこの街から出て行って!!」
私の声は彼女の絶叫に似た怒鳴り声で掻き消えてしまった。
「……すまない。これが済んだら、すぐに出ていく」
ラグは俯き小さくそう言うと私の横を過ぎベッドへと足を進めた。
そのままパシオさんの身体へと手を伸ばした彼を見て、マルテラさんが目を剥く。
「何をするの!? パシオに触らないで!!」
すさまじい形相で彼女はラグの腕に掴みかかった。だがラグは構わずパシオさんの真っ赤に染まった胸に手を当てる。
「癒しを、此処に……」