My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】

「やめて! パシオに悪魔の力を使わないで!!」
「マルテラさん、絶対治りますから!」

 そう言いながら彼女に手を伸ばすがバシッと強く払われてしまった。

「煩い!! ねぇ、やめてって言ってるでしょう!? 昨日私言ったわよね、もうこの街で魔導術は使わないでって! ねぇっ!!」

 マルテラさんがラグの腕を引っ張りながら大声で叫ぶがラグはやめなかった。目を閉じ、じっとパシオさんの傷口に意識を集中しているようだった。

 ――マルテラさんにとって、“魔導術”はこの街を消した恐ろしい悪魔の力なのだろう。

(でも、今だけは信じて欲しい)

 両手を組んで私もパシオさんの回復を祈る。
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