My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
33.まじない歌
「ラグ! ラグ……!!」
彼の前に膝をついて何度も何度も繰り返しその名を叫ぶ。
叫んだって何も変わらないのに、叫ばずにいられなかった。
小さなラグは刺された場所を強く押さえながら苦痛に顔を歪めている。
――どうしよう、こんなときどうすればいい?
病院もない。お医者さんもいない。
前にセリーンが傷を負ったときには、ラグとアルさんが一緒になって治癒の術をかけたと言っていた。
でも彼はこの姿では術が使えない。アルさんもいない。それに……。
「それは、なんの冗談?」
「……っ」
見上げると、マルテラさんが酷く冷めた目でこちらを見下ろしていた。
その手にはまだ血のついた短剣が握られたままで、咄嗟にラグの前に出る。
彼の前に膝をついて何度も何度も繰り返しその名を叫ぶ。
叫んだって何も変わらないのに、叫ばずにいられなかった。
小さなラグは刺された場所を強く押さえながら苦痛に顔を歪めている。
――どうしよう、こんなときどうすればいい?
病院もない。お医者さんもいない。
前にセリーンが傷を負ったときには、ラグとアルさんが一緒になって治癒の術をかけたと言っていた。
でも彼はこの姿では術が使えない。アルさんもいない。それに……。
「それは、なんの冗談?」
「……っ」
見上げると、マルテラさんが酷く冷めた目でこちらを見下ろしていた。
その手にはまだ血のついた短剣が握られたままで、咄嗟にラグの前に出る。