My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
「魔導術士ってそんなことも出来るのね。私にその姿を見せて、同情を誘おうとでも思った? その傷だってどうせ、すぐに治せるんでしょう?」
何も言えない。
喉の奥が、全身が震えて声が出なかった。
「でもそれ、逆効果よ。だってあの頃を、あなたと出会ったあの時のことを思い出してしまうだけだもの」
マルテラさんの目に再び怒りの感情が灯っていた。
「あの時、あなた言ったわよね。オレたちは戦争を終わらせに来たんだって。私たちを助けに来たんだって。確かに、貴方の言った通りになったわ。だって戦争は本当に終わったんだもの。――この街を、犠牲にしてね」
彼女の低い声が次第に大きくなっていく。