My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
「父さんも、母さんも、友達も、みんなみんな、あの時に死んでしまったわ。――あなたは、あなたたち魔導術士は! 自分たちの利益のために私たちを犠牲したのよ!!」
「違います!!」
もう聞いていられなかった。気づいたときには酷い声で叫んでいた。
「ラグは! 少なくともラグは本気でこの街を、あなたを助けようとしていたんです!」
私はその時この場所にはいなかった。
その頃のラグも、マルテラさんも知らない。
でもわかる。
ラグは、その時本気でマルテラさんを助けようとしていたのだ。
それだけはわかるから。
「だからもう、ラグを悪く言わないであげてください……っ」
最後はもう声にならなかった。ただそう言って彼女に深く頭を下げていた。