My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
「いい、カノン……っ」
「ラグ!?」
微かに聞こえた声に驚いて振り返るとラグが薄く目を開けて私を見ていた。
そして、その視線がマルテラさんに移る。
「すまない。何度謝っても、足りないくらいだ。心から、すまなかったと思っている……」
「何度謝られても、みんなは戻って来ないわ」
マルテラさんの声は冷え切ったままだ。
「わかっている。すまない……すぐに、出ていく」
そう言いながらラグが壁を頼りに立ち上がっていく。
「ラグ! 動いたら」
「大丈夫、だ……っ」
全然大丈夫じゃないのに、自分の足で立ち上がった彼はもう一度マルテラさんを見上げた。