My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
(ちゃんと、成功した……?)
気が抜けてぺたりと床に座り込む。
「よかった」
小さく声が漏れる。
「本当に、良かったぁ……っ」
「そんでまた泣くのかよ!」
「だって、本当に死んじゃうかと思っ……」
また呆れかえった溜息が降ってきて、その後でぽんぽんと頭を優しく撫でられた。
「最近、お前に助けられてばっかだな」
見上げると、ぼやけた視界の先に優しく微笑む少年がいた。
「ありがとう」
「っ、……うん!」
彼の“見えないキズ”が、先ほどのまじない歌で消えたとは思わない。
でもその笑顔が見られて今は十分だった。
私はごしごしと涙を拭って、もう一度彼を見上げる。
「もう、死んだっていいなんて言わないで」
「え?」
「死んだら、絶対に許さないから」
そう言って睨みつけると、ラグはびっくりしたように目を見開いてからバツの悪そうな顔をした。
「アルの奴と同じこと言いやがって」
「それだけ、アルさんも私もラグのことが……ラグのことが、心配なんだよ」
――すごく、すごく大事なんだよ。
危うくそう零しそうになって寸でのところで言い直す。