My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
「だからもう、絶対に死のうなんて思わないで」
「……わかった」
溜息交じりに、でもはっきりと頷いてくれてほっとする。――と。
「銀の、セイレーン?」
「!?」
震えた声が聞こえて振り返ると、カウンター奥でマルテラさんと彼女に支えられたパシオさんが呆然とした顔で私を見つめていた。
そこで気が付く。少し前に歌い終わったのに私の髪はまだ銀に輝いていた。
(なんで……!?)
ガッシャーーン!!
そのとき、そんな凄まじい音が耳をつんざいた。
驚き見れば扉横の窓を突き破ってモンスターたちが詰所の中に一気に雪崩れ込んでくる。
「うそっ!」
「立て!!」
まだ力の入らない足でなんとか立ち上がって、でもその爛々と光る複数の瞳が私を捉えていることに気付く。
(え……)
モンスターたちは脇目も振らずに真っ直ぐに私の元へ向かってくる。その眼にはやはり私しか映っていなくて――。
『本当に、こんなことは僕らも初めてで』
『森のモンスターたちも、何かに怯えているのかもしれんな』
『原因はオレか、お前か……』
皆の言葉が頭をよぎる。
私はこのとき酷く冷静な頭で《銀のセイレーンが世界を破滅へと導く》というこの世界の伝説を思い出していた。
(原因は、私……?)
「カノン!!」
ラグの絶叫が耳に響いた。