My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
ラグの舌打ちが聞こえた。
このままではラグも、他の皆もまた傷ついてしまう。
(私のせいで……っ!)
ぐっと奥歯を噛みしめて、私は起き上がった。
「ごめん」
「は?」
ラグが私の小さな謝罪の言葉にも反応してくれて、口を開く。
ねむれ ねむれ おやすみなさい
「!?」
再び歌い出した私をラグが驚き振り返る。
以前にも歌った子守歌。
つい数日前にラグのために歌ったものではない。
これはルルデュールの前で歌った子守歌だ。
ねむれ ねむれ おやすみなさい
涙のわけは忘れて おやすみなさい
明日になればきっと 笑顔の自分に会えるから
起きたらきっと全部忘れているから。
私のことも、何に怯え、怒っていたのかも。
だから今は深く深く、眠って……!