My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
私の足元に倒れ込んだ小さなラグが静かに寝息を立て始めて、私は歌うのをやめた。
「ごめんなさい」
もう一度謝ってからその小さな身体を壁に凭れさせるように座らせる。
丁度そのとき彼の身体が急成長した。
(ラグ……)
先日も見たあどけない寝顔がそこにあって、また涙が溢れそうになる。
ぶんぶんと頭を振って、私は立ち上がった。
と、先ほどが嘘のように辺りがシンと静まり返っていることに気付く。
そのまま詰所を出て、私は目を見開いた。
モンスターたちも、それと戦っていた人たちも皆、地面に倒れ眠っていた。
起きて立っているのは私だけ。
その光景をしばらく呆然と眺めて。
「はは……私って、本当に銀のセイレーンだったんだ」
そんな乾いた笑いが口から漏れた。