My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
先ほども訪れた鉱夫たちの事務所に辿り着いて、その扉を叩く。
やはりアジルさんにもう一度話を聞きたかった。髪が銀に輝く私を見て驚くかもしれないけれど。それでも話がしたかった。
しかしいくら待っても誰も出てきてはくれなかった。ドアにも鍵がかかっているようで開かなくて肩を落とす。
「もしかして、中の人も皆寝ちゃってるとか?」
「ぶぅ~?」
扉から離れ先ほど数人の鉱夫達が顔を覗かせた窓の方を見上げてみるが、カーテンが掛かってしまっていて何も見えなかった。
仕方なく私はそのまま坑道に向かうことにした。確かこの奥の山道が坑道の入口まで続いているはずだ。
更に山道を進んでいくと小さなトンネルのような人工の穴が見えてきた。しかし中は当然真っ暗闇で出口なんて見えない。
「ここ、だよね」
呟いてごくりと喉が鳴る。
(この中に、何か秘密があるんだ……)
勇気が出ずになかなか入れずにいると、ブゥが私の頭から飛び立ってふよふよ先に入って行ってしまって焦る。
「ブゥ待って! 私も行くから」
私はブゥを追いかけて坑道内に足を踏み入れたのだった。