My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
(ここも静かだなぁ)
鉱山というから採掘の音が中でもっと響いているものかと思ったけれど。
――もしかして。そう考えた矢先だった。
前方にほのかなオレンジの灯りが見えてドキリとする。近づいていくとそれがランタンの灯りだとわかった。そして。
「あっ」
そのすぐ傍に倒れている人たちを見つけて足を速める。
恐る恐る近寄ると鉱夫らしきその男たち二人は静かに寝息を立てていて、ほっとすると同時にやっぱりと思った。
(ここにまで歌の力が……?)
やっぱりおかしい。
ずっと銀に輝いている髪の毛といい、明らかにいつもとは違う何かが起こっている。
――止める奴らを片っ端から眠らせて、強行突破。
ふいにセリーンの声が蘇った。
(本当にそうなっちゃったな……)