My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
優しい双眸が私を見つめて、一度声を出した勢いで続ける。
「エルネストさんは本当に、金のセイレーンなんですか?」
彼が頷く。
「この世界を、創ったっていう……?」
小さく訊ねると彼は優しく微笑んだ。
「そう、僕は歌でこの世界のすべてを創り出した。大地も、海も、風も、生き物もすべて」
グリスノートから聞いていた金のセイレーンの伝説。
それをその本人から、なんでもないことのようにさらりと言われて、ごくりと喉が鳴ってしまった。
「――と、そういうことになっている。伝説ではね」
「え」
思わず間抜けな声が出てしまった。
彼はそんな私を見てクスクスと笑って言った。
「僕はただ、人より長生きで、人より少し力があって、歌を作るのが好きなだけの生き物だよ」