My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】

 アルさんも困ったように頭をかいて口を開いた。

「いや、そんなふうにただ謝られてもな。何があったか訊いてんだけどよ」

 と、エルネストさんがクスリと笑った。

「その彼、面白いね。術士ではないのに術士の力を感じる」

 びくりと、アジルさんの背中が強張った。

「術士ではない? いや、だがその男は確かに術を使っていたぞ」

 セリーンが眉を顰める。
 するとエルネストさんはスっとその目を細めた。

「ひょっとして君、この僕に触れたかい?」

 ――エルネストさんに、触れた?

 アジルさんは恐る恐るというふうに顔を上げ、水晶柱の前に浮かぶエルネストさんを見つけると顔面を蒼白にしてガクガクと震えだした。

「そんな、まさか……っ」

 あの姿のエルネストさんを初めて見たにしても、その驚き方は尋常ではなかった。

「……話してくれるね?」

 エルネストさんの優しい声音に、アジルさんは観念したように語り出した。

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