My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
その声は思っていたより大きく響いて、皆が私を見た。
「だって、もしその計画が本当に実行されていたら、もっと酷い戦争になっていたかもしれないのに」
ただ戦争を終わらせようとしていたラグが、ただ純粋にマルテラさんたちを助けようとしていたラグが、“悪魔の仔”なんて呼ばれて、たった一人責められるなんて絶対におかしい。
「だから、このことをマルテラさんや街の皆にもちゃんと伝えなきゃ!」
「やめてくれ!!」
アジルさんが必死な形相で私を見上げた。
「今このことが知れたら、折角ここまで街を復興させた皆の努力が台無しになっちまう!」
「そんなのっ」
「頼む! 誰にも言わないでくれ、頼む!!」
再びアジルさんは地面に額を擦り付ける。