My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
「……だが確かに、この話を今の街の連中に話すのは酷かもしれん」
そう苦渋に満ちた声で言ったのはセリーンで、私は目を見開く。
「マルテラたち生き残った者たちも、知らなかったとは言えその恐ろしい計画に加担していたことになる」
「でも!」
わかる。セリーンの言っていることはわかる。
当時まだ幼かったマルテラさんは何も悪くない。この人と同じ、ただ言われた通りに働かされていただけだ。――でも。
今は穏やかな顔で眠るラグを見つめる。
「でもそれじゃあラグは、これからもずっとひとりで、その罪を背負って生きて行かなきゃいけないの……?」
――オレ達はこの特別な力を、戦争で使った……。
――ただ、助けたかった……だけだ。
今まで見てきた彼の辛そうな顔が次々と脳裏に浮かぶ。