My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】

「そんなの、可哀想すぎるよ……っ」

 最後はもう立っていられなくて、両手で顔を覆って私はその場に泣き崩れた。

「カノン……」

 セリーンがそんな私に寄り添って肩を抱いてくれる。
 それでも涙は止まらなくて、私の嗚咽だけがしばらく空洞内に響いていた。

「カノンちゃん」

 アルさんの優しい声がかかる。

「ラグはさ、カノンちゃんがそう言ってくれるだけで、もう十分だと思う」

 顔を上げると、ぼやけた視界の向こうに今にも泣きだしてしまいそうなアルさんの笑顔があった。

「ラグのために泣いてくれて、ありがとな」
「アルさん……」

 ――そうだ。アルさんだって、この真実を知って悔しくないわけがない。
 私以上に彼はラグを近くで見てきて、そして自身も術士としてこれまでたくさん辛い目にあってきたはずだ。
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