My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
39.歌であふれた世界
私は目元に残っていた涙を拭って、もう一度彼を見つめる。
「この世界は、歌が不吉とされていて、争いや差別があって、確かにすごく良い世界とは言えないかもしれません。でも私は、それでもこの世界が好きです。この世界で出会った人たちが大好きです」
と、そこまで言って私は苦笑する。
「中には出来ればもう会いたくない怖い人もいたけど……でも、違う世界から来たこんな私でも受け入れてくれた、あったかい人たちがいるから」
ライゼちゃんたちフェルクレールトの皆。
ドナたちパケム島の皆。
ツェリウス王子たち王宮の皆。
リディたちブルーの皆やアヴェイラたちの顔が浮かぶ。
そして今もこの場にいてくれる、セリーン、アルさん、グリスノート、ブゥ、――ラグ。
このレヴールにはこんなにも大好きな人たちがいる。