My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
「私は、彼女みたいに強くはありませんが、歌が好きな気持ちは一緒です。だから、出来るなら私はもう一度この世界に歌を蘇らせて、エルネストさんの大好きだったレヴールに戻したいです」
私が言い終えると、彼は静かに目を伏せた。
しばらくの間沈黙が続いて、誰かがごくりと喉を鳴らす音が聞こえた。
「歌で溢れた世界……」
ぽつりと、エルネストさんが呟いた。
「そんな世界が……あの楽園が、また戻ってくると思うかい?」
「戻ってきます!」
私は大きく頷く。
「……どうして、そう思うんだい?」
「だって、歌を知らなかった子供たちがあんなに楽しそうに歌ってくれました!」
フェルクレールトでの大合唱を思い出す。
「エルネストさんだって見ていたはずです。大人たちも怖がらずにそんな子供たちの歌を聴いていました」
「……」