My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
私はこれまでの旅を思い出しながら続ける。
「セイレーンの歌もひっそりとですがちゃんと受け継がれていましたし、ドナは私の歌に合わせて華麗に踊ってくれました。クレドヴァロールの王宮では、歌ではないですが素敵な笛の音が奏でられましたし、ついこの間は海賊のアヴェイラが素晴らしい歌声を披露してくれました。それに、そこにいる彼みたいに、元々歌に興味があったっていう人もいます」
目の合ったグリスノートがぎょっとした顔をした。
「あ、あぁ。まぁな」
「私も、歌は美しいものだと思っているぞ。カノンの歌声を聴いてな」
そう言って私の肩に手を置いたのはセリーンだ。
「俺も! って言いたいとこだけど、俺まだ聴いたことないんだよな。だから、カノンちゃんの歌、ちゃんと聴いてみたいって思ってる」
アルさんがそう言って笑う。