My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
彼の綺麗な笑顔を見て、皆がほぅと安心したように息を吐くのがわかった。
でも私はそれよりも――。
「あの、今、名前……」
「ん? あぁ。『コトネ』はね、僕の愛した銀のセイレーンの名前だよ。『ウエハラ・コトネ』と言うんだ」
(ウエハラ・コトネ)
私は口の中で何度もその名を反芻する。
とても大好きな、その名を。
「おばあちゃん」
「え?」
エルネストさんと、皆の声が重なった。
「コトネ……『上原琴音』は、私のおばあちゃんの名前です」
声が震えた。
――同姓同名?
でもそんな偶然あるだろうか。
エルネストさんも瞠目し言葉を失っていた。