My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
「彼女を邪魔に思っていた者たちだ。彼らが僕の怒りに触れることを恐れて……」
「眠っちまったあんたを封印したってことか」
「その者たちって……」
気になって訊くとエルネストさんは弱々しく微笑んだ。
「僕に仕えていた、セイレーンたちだ」
「!」
「彼らからしたら、僕がひとりの女性を、しかも異世界の人間を愛するなんてあってはならないことだったんだ」
と、そこでグリスノートが手を打った。
「そうか。それでそいつらが銀のセイレーンの偽りの伝説をでっち上げたってわけか」
――金のセイレーンはこの世界を守るために銀のセイレーンと戦い、銀のセイレーンはこの世界から消滅した。だが、金のセイレーンもその戦いで力を使い切り封印された。
グリスノートが話してくれた金のセイレーンと銀のセイレーンの伝説を思い出す。
「歌が不吉とされちまったのも、そのせいかよ」
彼は悔しそうに言って、肩に留まるグレイスを見つめた。
「……いや、それよりその恐ろしい歌を誰かが歌ってしまわぬよう、歌は不吉なものと広めたのかもしれん」
口元を押さえながらセリーンが続けて、アルさんが頷く。
「全部憶測に過ぎないが、一番しっくり来るんじゃないか?」