My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
40.奇跡の力
「おーいラグ、起きろ~~」
アルさんはラグの傍らにしゃがみ込んでその肩を揺すったり頬を軽く叩いたりする。でもラグはぴくりとも反応しない。
「な? 何しても起きねぇんだコイツ。これってやっぱカノンちゃんの歌、なんだよな?」
「は、はい」
頷いて私もラグの元へ行かなければと思うのに、足が動かない。
「セリーンはすぐに起きたんだけどなぁ」
「多分、カノンの一番近くにいたからじゃないかな」
そう答えたのはエルネストさんだった。
「それか……いや、彼は僕が起こそう」
「え?」
エルネストさんは一度ふっとその姿を消すと、次の瞬間ラグのすぐ前に現れてアルさんが目を丸くした。